7月17日、25回目となる中部テレビ大賞の審査が終わりました。
「若手ディレクターの励みとなるコンクール」を目指し、30歳以下のディレクターが制作した作品のみを審査対象に変更して5回目。
その理念が中部地方のテレビ局に徐々に浸透し、今年も傑作・快作の応募を多数いただきました。
最近ネットに押され気味と言われるテレビですが、”若手のやる気とパワーはすごい!まだまだ未来は明るい”と感じ入った次第です。
さて審査から10日ほどした先月末、中日新聞朝刊に「走る本屋さんの挑戦」と題した社説が掲載されました。
「走る本屋さん」とは、静岡県の高木久直さんが6年前から始めた書籍の移動販売のこと。
本屋のない地域へ自ら軽ワゴンのハンドルを握り、本を届けています。
この活動のことは、よく覚えています。
2年前の中部テレビ大賞で、その高木さんを追ったドキュメンタリーが優秀賞を受賞したからです。
そしてこの記事を読んで、ふと思いました。
「そういえば、最近本屋に行ってないな」。
私が本屋に行く目的は、仕事に関する資料を探すことが8割ですが、残りの2割に秘かな楽しみがあります。
それは、本来の目的とは全く関係のない一冊と出会うこと。
何気なく手にした一冊で自分の知らない世界が突然開け、未知の沼にどっぷりはまってしまう。
そんな偶然がたまらなくスリリングで、ちょっとした期待を胸に、いつも本屋に足を運んでいます。
しかし近年町の本屋は、コロナ禍による営業時間の短縮だけでなく、あるデータによると、この20年で店舗数が半減してしまったそうです。
かつては駅前や商店街に必ずあった本屋も、今ではシャッターを降ろしたままの姿が目につきます。
店舗数が半減したということは、立ち寄った本屋で自分に影響や刺激を与えてくれる本と出合うチャンスも、半分に減ってしまったということです。
今の時代は、場所を取る本をわざわざ買わなくても、スマホにデータをダウンロードして気軽に読むことができます。
けれども本屋で出会う本たちの、その個性的なデザインの表紙、買う気にさせる文言の帯、紙の持つ独特の匂い…。
そして何よりも、ページをめくるときのワクワクした気持ち。
書棚に並ぶ本は、新たな世界への扉を開けてくれます。
偶然手にした一冊の本。
そこには、予期せぬ出会いがあります。
そんな出会いに期待して、今日はいつもより少し早く仕事を終わらせて、
「よし、本屋に行こう」。
そう決めました。